廃止は延期、社会保障の財源圧迫

日本では介護保険法が2000年(平成12年)4月に施行され、介護保険制度によるサービスが始まりました。介護保険制度が創設された背景には、日本における家族構成の変化や、少子高齢化、高齢者医療費の増大などがあげられます。家族による介護から、社会全体で介護を担う「介護の社会化」が必要となりました。介護保険制度は40歳以上65歳未満の第2号被保険者が納付した保険料と、公費で賄われています。65歳以上の第1号被保険者が介護保険を利用する際には、1割負担をしていただくという仕組みです。

現在、介護保険を利用する高齢者の方が年々増え続けていく一方で、財源が圧迫されているという現状があります。そこで社会保障を充実されるためにも消費税が増税されると言われています。

厚生労働省は、2011年度末の廃止が決定されていた長期入院型の介護療養型医療施設(療養病床)について廃止を延期にしました。廃止を6年延長し、2017年度末までとする方針となりました。延長になった背景には、当初想定していた介護老人保健施設などへの移行が進まず、このまま廃止になってしまえば、受け入れ先が見つからない高齢者が介護難民になってしまう恐れが出てきました。 介護保険施設の中でも、長期の入院が必要な特定疾患などの受け入れをしている施設の中で、医療保険が適用される医療型と、介護保険が適用される介護型があります。

療養病棟は、医師や看護職員の配置が一般の施設よりも手厚くなっていて、高齢者一人当たりの1ヶ月の費用は介護老人保健施設(老健)に比べると、介護型の療養病棟で10万円程高く付くといわれています。介護型は、医療依存がそれほど必要のない高齢者の社会的入院によって、社会保障の無駄遣いをしてきたと批判を受けてきたことにより、当時の自民党政権が廃止を決定し、他の施設への移行を進めていましたが、政権交代をした民主党が廃止することの延期を取り決めました。